続き
「アメリカのトウモロコシ畑にはアワノメイガという害虫が発生し、
これは殺虫性毒素を組み込んだGMトウモロコシで殺すことができました。
ところがその毒に接しているうちに、アワノメイガの幼虫のなかでも生命力の強いものが生き残り、
耐性のある子孫を残し、スーパー害虫が生まれたのです。
すると、いくら殺虫性毒素が組み込んであっても退治できなくなります。
科学の力よりも自然界の対応力のほうが早く、生き残る力も強いということでしょう」
インドの綿花栽培の農家では、コナカイガラムシというスーパー害虫が異常発生し、
綿の収穫量が減少しているという。
思いがけない問題児となったスーパー雑草とスーパー害虫。この両者を駆除するために、
農家はさらに毒性の強い殺虫剤や農薬を大量に散布するという悪循環を繰り返している。
その手間もコストもばかにならず、農家の経営を大いに苦しめているのだ。
それを裏づけるかのように、全米で除草剤の使用量が増えているデータを
市民バイオテクノロジー情報室の天笠啓祐(あまがさ・けいすけ)氏が解説する。
「ワシントン州立大学のチャールズ・ベンブルック教授による、いわゆるベンブルック報告です。
これはGM作物栽培が始まった1996年から2011年にかけての全米の農薬の消費量変化を調べたものです。
除草剤を見ると、その間で約11%増加し、量にして約23万3900トンも増えているのです」
使用する量が増えれば、土は除草剤漬けになる。土壌汚染の問題も深刻だ。
効率を追求して遺伝子組み換えを行なったはずが、人間は自然の手痛いしっぺ返しを受けている。
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